テトラサイクリン歯の原因と、ホワイトニングで白くする方法
生まれつき歯が黄色く変色している場合、「テトラサイクリン歯」である可能性があります。テトラサイクリン歯は、通常の歯質と異なるため、ホワイトニングを行っても白くなりにくいのが問題です。
今回は、テトラサイクリン歯の原因、またホワイトニングで白くする方法について解説したいと思います。
1.テトラサイクリン歯の原因と特徴
テトラサイクリン歯は、抗生物質の影響による生まれつきの歯の変色です。詳しい原因と特徴は、次のとおりです。
(1)テトラサイクリン歯の原因
テトラサイクリン歯は、永久歯が顎の中で形成される時期である出生直後〜8歳頃の間に、テトラサイクリン系抗生物質を服用した場合に起こる歯の変色です。
抗生物質の成分が、体内に取り込まれると、形成中の歯のカルシウムに反応して結びつき、象牙質の中に沈着します。
テトラサイクリン系抗生物質は、現在では、ほとんど使われなくなっていますが、昭和40年代を中心にマイコプラズマ肺炎や百日咳の特効薬として使われていました。そのため現在の40歳代後半〜50歳代の方に、テトラサイクリン歯がしばしば見られます。
現在でも、呼吸器疾患や皮膚疾患等で、テトラサイクリン系抗生物質の副作用を考慮しても、服用した方が良い判断された場合には、使用される事もあります。
(2)テトラサイクリン歯の特徴
変色の程度には、テトラサイクリン系抗生物質を投与された期間などが影響するため、個人差があります。また、テトラサイクリン系抗生物質と一口に言っても、20種類以上あり、服用した薬によって、着色の色が異なります。
色味の特徴としては、グレー系、イエロー系、ブラウン系など何種類かの系統があります。いずれもくすんだような色が特徴で、左右対称の縞模様が見られる事が多いです。
沈着した着色物質は、紫外線にあたると光化学反応を起こして、変化する性質があります。そのため、最初は程度が軽いと思っていた変色も、太陽光による影響で、徐々に濃い色に変化してしまう事があります。
テトラサイクリン歯の原因と特徴はインスタグラムでも解説しています。合わせてご覧ください!
(3)シェードガイドで見るテトラサイクリン歯の色系統
下図のシェードガイドは、ホワイトニングの効果を調べたり、人工歯を作る際に参考にするための歯の色見本です。左にいくほど歯の色は明るくなります。色調によってA,B,C,Dの系統があります。
標準的な色の場合はA系統なのに対し、テトラサイクリン歯の方は、灰色がかったC系統やD系統の色味になります。この系統は、くすんで見える色で、ホワイトニングの効果が現れにくい色になります。
2.ホワイトニングをする場合の注意点
テトラサイクリン歯であっても、歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」自宅でマウスピースを装着して行う「ホームホワイトニング」、どちらも行う事ができます。ただし、通常の歯に比べて、ホワイトニングを行っても効果が現われにくくなります。ホワイトニングの注意点を、歯の変色の程度ごとに解説していきます。
(1)変色の程度が軽い場合
全体的に歯の変色が見られるものの、縞模様までは見られないような変色の程度が軽い歯の場合、オフィスホワイトニングで、ある程度白くする事が可能です。ただし、通常の歯よりは効果が現われにくくなるため、1回の施術では思うような効果が現われない事があります。
そのような場合は、ホームホワイトニングを併用し、時間をかけて白くする事で、徐々に通常の歯の色に近づける事ができます。
(2)変色の程度が中程度の場合
濃いグレーや青味がかったグレーなど、変色の程度が中程度の場合は、オフィスホワイトニングだけを行っても、思うような効果がでない事が多いです。時間はかかりますが、ホームホワイトニングでじっくり白くしていく方が、効果が現われやすいです。ホームホワイトニングは、ジェルと追加購入する事で、長期的にホワイトニングを継続する事ができ、長い目で見ると経済的です。
より高い効果を求めるのであれば、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用したデュアルホワイトニングがおすすめです。
(3)変色の程度が重度の場合
濃い縞模様が見られるなど、歯の変色の程度が重度の場合は、ホワイトニングでは、なかなか効果を得る事は難しいでしょう。次に紹介する「ホワイトニングで白くならない場合」を参考にしてみてください。
テトラサイクリン歯のホワイトニングについてインスタグラムでも解説しています。
3.ホワイトニングで白くならない場合
変色が強く、ホワイトニングで白くならない場合には、人工歯を装着する方法やコーティング剤を塗布する方法があります。
(1)ラミネートベニア
歯の表面を薄く一層削り、セラミックのシェルを付ける方法です。シェルは、付け爪のようなものをイメージするとわかりやすいです。セラミックは、透明感があるため、自然の歯に近い色味で、希望の色を再現する事ができます。
ただし、歯ぎしりや食いしばりが強いと、割れたり欠けたりする事があるため、噛み合わせや歯並びによっては、ラミネートベニアを適用できない事もあります。
(2)クラウン
クラウン(歯の被せ物)を使えば、ラミネートベニアが適用できないケースでも、白い歯にする事ができます。セラミックのクラウンを使えば、自然の歯と変わらない見た目を再現する事ができます。
特にオールセラミッククラウンは、金属を一切使用していないため、歯の透明感や色味が本物の歯に近い、審美的には最もおすすめの人工歯です。
ただし、クラウンの場合は、歯を全体的にぐるりと削らなくてはなりませんので、どうしても歯を削る量が多くなってしまいます。
(3)歯のマニキュア
爪に塗るマニキュアのように、歯の表面に専用の塗料と塗り、歯を白く見せる方法です。一時的に歯を白くするのに有効な方法です。歯科医院で塗るタイプのものと、自分で塗るタイプのものがあります。
- 歯科医院で塗るタイプの歯のマニキュア
「ホワイトコート」といわれる施術です。歯の表面に光で固まる白いプラスチック剤をコーティングする方法です。ジェルネイルをご存知の方は、ジェルネイルをイメージするとわかりやすいです。プロが行うので、色ムラが少ないのがメリットです。価格は1万円〜5万円程度で、1〜2か月程度もちます。
コーティングを落とすためには、もう一度来院していただく必要があります。そのままにすると、剥がれた部分に汚れが溜まるので、きちんと落とさなくてはなりません。白さを維持しようとすると、定期的に費用がかかり、かなり高額になってしまいます。継続的に、テトラサイクリン歯の変色を改善したい場合には、ホワイトコートでは無く、人工歯を付ける方法がおすすめです。
- 自分で塗るタイプの歯のマニキュア
1500円〜3000円程度で販売されており、安価で気軽に試す事ができます。効果の持続時間は短く、半日〜1日程度です。その日だけ白くしたい場合には有効な方法です。塗るのが難しいため、ムラができやすいのが難点です。
マニキュアは、歯みがきで落とす事ができますが、取り残しがあると汚れが溜まりやすくなります。取り残しが無いように注意しなくてはなりません。
ホワイトニング以外の白くする方法をインスタグラムでも解説しています。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。テトラサイクリン歯は、永久歯が顎の中で形成される時期(出生直後〜8歳頃)に、テトラサイクリン系抗生物質を服用した場合に起こる歯の変色です。
テトラサイクリン歯は、ホワイトニングを行っても効果が現われにくいという問題があります。オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを比較すると、時間はかかりますが、ホームホワイトニングでじっくり白くしていく方が、効果が出る事が多いです。
重度の変色で、ホワイトニングの効果が期待できない場合には、人工歯を装着する方法や、歯にコーティング剤を塗布する方法で、歯の色を改善させる方法があります。
変色の程度には個人差があるので、歯科医師と相談の上、自分の歯の状況に合った方法で、歯の色を改善させていきましょう。